伝統工芸品と仏教美術

PNで主に印刷物の制作に携わっているスズキです。

先日、友人夫婦と食事をしていたときのこと。
その日、私がたまたま持っていた小冊子で、ちょっとうれしいことがありました。

東京の伝統工芸品 見学・体験工房案内
(リンク先、上から3つ目をご覧ください)

食事の最中にこの冊子の現物を取り出した途端、奥さんが、
「これ、私持ってます。全部見て、いいなあと思ってたんです!」と。
この冊子を手にした彼女は、実際に行けそうなところはどこか、あれこれ考えながらページをめくり、そのうち夫婦で見学か体験に行こうと、大切に取ってあるというのです。

この小冊子は、昨年の3月に発行したもので、A5サイズで全56ページ、東京都内にある見学や体験ができる伝統工芸品の工房を紹介しています。
こうした紙媒体、しかも自治体からの発注で制作した広報物というのは、その後、どうなったか把握できないことがほとんどです。担当者の評価や感想は聞けても、配布後、どんな人が手にし、どんな反応があったのか、気になるけれども「その先」はあまり知ることがありません。
それが発行から1年たってから、身近な友人から「大切に見てます」という話を聞けたのは、ささやかながらとてもうれしいことでした。


友人夫婦と食事をした数日後、芝増上寺で山田五郎さんの講演を聞きに行きました。極個人的な興味からです。テーマは「仏教美術に期待すること」。西洋美術を学び、編集者を経て評論活動をされている山田さん、「お寺に言いたいこと」として、以下のようなことを仰っていました。

・2008年頃から仏教美術の人気がすごい。いいものはお寺にしまいこまず、公開してほしい
・仏教界内部から仏教の面白さを、今生きている人に響く言葉で伝えてほしい
・寺にはコミュニティの核となってほしい、また、地域活動の場として利用させてほしい

これは、仏教だけではなく、広くさまざまなことに言えることだと感じました。
先に記した伝統工芸品もそうです。伝統ある素晴らしい技術が近年注目を浴びていますが、若い人には敷居が高いと思われている面もあります。体験できる工房があることなどは、広く知られていないかもしれません。
自治体の事業も然り。何か施設を作ったり、まちづくり事業を実施したりしても、それをきちんと知ってもらわなければ、効果半減、ということもあり得ます。

山田五郎さんが仏像好きのみうらじゅんさんのエピソード※を紹介しながら、大きな声で言っていたのは、
「仏教、もったいないぞ!」でした。

「いいもの」「いいこと」が知られずに埋もれていくのはもったいない!
ささやかながら、それを掘り起こし、伝えていくお手伝いができたらと思います。


※みうらじゅんさんは「弥勒菩薩像とウルトラマンが似ている」などと言って、寺院関係者に怒られるのだそうです(笑)(実際、円谷さんは仏像をモデルにしたらしいですね)


23 May, 2012 | noris



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